Jin's Report 2009

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悪癖

第2戦 9月6日

【移動距離80マイル/約131.2km】
“Evanston Cowboy Days” Evanston, Wyoming(PRCA)
“エヴァンストン・カウボーイ・デイズ”
ワイオミング州 エヴァンストン

エヴァンストン・カウボーイ・デイズ

空は澄み渡っていた。ファイラーから帰ってきたのが午前2時前。寝たのは3時半だった。にもかかわらず、8時前には目が覚めた。それでもベッドの中で「もう少し…」と時間を過ごし、そこから這い出たのは10時過ぎだった。ジョーンズ家特製のオムレツとトースト、フレッシュな桃をホイップクリームであえたデザートという朝食で一日が始まった。
その後しばらくガレージの整理を手伝い、午後2時過ぎにアレックスに電話した。あと1時間ほどで昨日と同じ場所へ迎えに来てくれるらしい。今日のロデオは6時からだが、少し早めに向かうようだ。ソルトレイクからエヴァンストンまではわずか1時間半しかかからない。

今日は父親ではなく、高校生のブルライダーを一人連れてきていた。ファーストネームとミドルネームを略してTJと紹介された。ユタの高校生のロデオ大会でファイナルズまでいった選手だ。彼のバックルがそう教えてくれた。
I-80を東へ向かう。ワサチ山脈の真ん中を突っ切って、断崖峡谷の中をうねるように進む。もう何年もこのフリーウェイを走っているが、いつみてもここの地層には目を見張る。グランド・キャニオンや他の国立公園と比べたら、たいしたことはないのかもしれないが、むき出しのこの地層に刻まれた記憶はいったい何百年、何千年なのだろう?考えても無駄のように思えた。

車の中ではアレックスのCDが鳴り響いていた。「昨日は親父の好きなカントリーとロックばかりで、しかも古いのばっかりだったろ?」そういう彼は、カントリー・ミュージックはそれほど聴かないらしい。「クラシック・ロックは好きなんだけどね。なんてったって80年代育ちだからな!」私がそう言うと、彼も笑っていた。
流れてくるのはレディー・ガガ、リル・ウェイン、ハナ・モンタナ(マイリー・サイラス)、エイコン、マライア・キャリー、エミネムなどなどラップ、ヒップホップ、R&B、ポップが続く。ビルボードのシングル・チャートに出てくる曲はかたっぱしから押さえてあるようだ。それらの曲を聴きながら、私はまた寝てしまった…。

ロデオ・オフィス

会場に着いたのは5時前。軽く食事を取り、それからオフィスへ行ってエントリー・フィー120ドルを払った。今日のブルはBar T Rodeo Company(バー・ティー・ロデオ・カンパニー)の#313 Twister(トゥイスター)。探してみると、昨日のワイルド・ビルより大きい。白っぽい体に赤い斑点がところどころにある。シュート裏に行き、ロープを出して準備にとりかかると、Bar T Rodeoのジェフがいた。去年何度も彼の牛に当たり、一度も8秒乗れることなく終わった。それだけ彼にも世話になったということだ。声をかけ、再会のあいさつを済ませ、ブルのことを聞いた。そのあと去年のセント・ジョージでのロデオ以降の話をし、今日のロデオが昨日のファイラーに続いて昨年10月以来のロデオであることも話した。来週のソルトレイク、その次のセント・ジョージと3週続けてまた彼のブルに乗ることも伝えた。「そりゃ、楽しみだ!」、私も、だ。

トゥイスター

準備に戻ると、私の横で中学生くらいの少年が同じように準備を進めていた。今日の最初の種目はスティア・ライディングのようだ。彼と同じ年代の男の子たちがこぞってロープにロージンを刷り込ませている。
6時を過ぎて、そのボーイズ・スティア・ライディングが始まった。アリーナの中を見ると、アレックスとTJがジャッジをしている。このために早めに来ていたのか!
10歳から13歳くらいの子達が乗っているのだが、上手い子はすでにスタイルが出来上がっている。こういう子たちが高校に上がる前に、ブルに乗り始め、18歳でプロに転向してくる。こういう環境は、正直うらやましい。

出番を待つ少年

そのあとのベアバックを見てからストレッチを始めた。各種目それほど出場する選手が多くないのか、進行が早い。あっという間にサドルブロンコまで終わってしまった。シュート裏に戻ってみたのだが、ここからが長かった。幼児向けのマトン・バスティンに、ストック・サドルブロンコ、タイムド・イヴェントが3種目、ロデオ・クラウンの余興まで入って、アレックスをはじめ、他のブルライダーたちも待ちづかれていく。出番がなかなか回ってこない。
バレル・レーシングが終わって、ブルがようやくシュートに運ばれてきた。一斉にチャップスをつけ、ヴェストを着る。運ばれてきたブルに自分のロープを巻きつけて、あとは出番を待つのみ。反対側のデリヴァリーから始まって、私の二人前でアレックスの番だった。今日もまた、ここまで全員が落ちている。が、この日のアレックスは見せてくれた。右手で乗る彼に対して、ブルは右向きのデリヴァリーから出て、右へ鋭くターンバックし、そのまま右に回る(into his hand)。7秒を過ぎて彼の身体が横向きになったが、手を離さなかった。8秒乗り切って、82点。この時点で暫定1位だ。
私の番が回ってきた。TJにロープを引っ張ってもらい、締めるのを手伝ってもらった。昨日の教訓を思い出し、出たつもりだった。が、トゥイスターの2度目の蹴り足がほぼ垂直に跳ね上がり、私の両足がすっぽ抜けた。しかし左手はロープから抜けておらず、つんのめるような感じで上体が前に放り出された。ブルの背中の上で、私の身体が踊る。ヘルメットをかぶっている私の頭と彼の額がぶつかり、音がする。何度跳ね回されていたのかわからないが、ようやく左手が抜けた。地面に落ちると、2人のブルファイターがブルを遠ざけてくれていた。なんてこった…、悪い癖だ。
「(I) lost my feet.」去年も何回もこの悪い癖のおかげで落とされた。両脚に力が入っていない、ヒザで乗れていない証拠だ。

修正するには練習しかない。
TJに頼んでおいた動画を見せてもらおうとしたら、「あまりの出来事の速さに、なにも撮れなかったよ…」と彼も困った顔をしていた。あんなにあっさり落とされては、撮る時間はなかっただろう。
頭の中の記憶には強烈に残っている。何が悪かったのかもわかっている。乗ることで、直していくしかない…。


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