Jin's Report 2010

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渦巻き

第3戦 6月26日

【移動距離36.7マイル/約59.6km】
“Lehi Round-Up” Lehi, Utah. (PRCA)
“リーハイ・ラウンド・アップ” ユタ州リーハイ

マウンテン・ホームの会場は試合後すぐに出た。ソニーのライドに影響されて、いても立ってもいられなかった。会場では地元のカントリー・バンドのライブが始まり、パーティー状態だったが、気にもならなかった。I-84を南東へ。走り始めてから間もなく、雨が降り出した。昼間に比べて道はすいている。大型トレーラーくらいしか走っていない。3時間ほど走ったところで、フリーウェイ脇の休憩所で仮眠を取った。明かりも少なく、静かだった。

EMBED Package  ショウタイム
休憩所から見た朝焼け

翌朝、また3時間ほど走って家に着いた。ロデオ開始時刻は午後8時。時間がある。テレビではサッカーのワールド・カップの試合が流れていたが、途中で寝てしまった。その後軽く食事を取って、マウンテン・ホームの原稿を途中まで書いて、支度を始めた。

道がすいていれば、リーハイまでは1時間もかからない。ただ、その前に友人のトラビスの家に行って、バッキング・マシンに乗っておきたかった。リーハイが、彼の地元だ。その彼も今夜出場する。
いつもなら夕方のラッシュにはまる時間帯だったが、土曜日のせいかI-15はすいていた。トラビスの家に着いてみると、誰もいない。トラビスに手伝ってもらおうと思っていたので、彼に電話してみた。出ない。仕方なく、ステイショナル・バレルにまたがりドリルを始めた。基本の動作3パターンを繰り返す。それからマシンにまたがり、自分の体重移動だけでその動作を繰り返す。動きは激しくないが、逆に言えば、自分が正しい動きをしない限り、バレルは揺れてくれない。ある意味、いい練習にもなる。

マトン・バスティンの子供たちとそれを見守る親たち
リーハイ・ラウンド・アップのロゴ

6時過ぎに会場に入った。路上や近所の人たちの庭が、観客のための駐車場になっている。オフィスに行ってみると、まだ開いていない。目の前のテーブルに、見慣れた男が座っていた。ブルファイターのダレル・ディッフェンバック。ダレルはオーストラリア人だが、すでにアメリカに移住した。NFRやPBR World Finalsでもブルファイターを務める、最高のブルファイターの一人だ。今日はルイとこのダレルが、ブルファイターを務める。このリーハイでは、もう何年もこのコンビだ。

シュート裏に行き、ギアを置いて、ブルを見て回る。私のブルはロッサー・ロデオ・カンパニーの#522 Fudge Sicle(ファッジ・シクル)。小型で、黒光りする体はつやがある。こういうブルは良く動き回る。もう一度オフィスに行ってみると、今度は開いていた。エントリー・フィー141ドルを払う。レシートと共に、出場した証しとなるキャップをもらう。ごく稀に、選手にはこういう記念のキャップやTシャツなどが配られる。今日の出場選手を見ると、トラビスのほかに、チャドやアレックスも出る。練習仲間が皆そろうというのも珍しい。今年ユタに帰ってきてから、まだ一度も顔を合わせていなかった。
ストック・コントラクターのリー・ロッサーと、ダイヤモンド・G・ロデオのシンディとスティーブンとも再会の握手を交わした。
少し遅れてルイもやってきた。アレックスやチャドもやってきた。トラビスは最後だった。私がお世話になっているルイの両親もわざわざ来てくれた。

ファッジ・シクル
ファッジ・シクル

オープニング・セレモニーが始まる頃に、私は車に戻り、ストレッチを始めた。芝生が敷きつめられているし、やりやすい。サドル・ブロンコが終わった頃に、シュート裏に戻った。アトラクションのひとつで、チャックワゴン・レースが始まっていた。ダレルからすれ違いざまに「Are you ready?」と声をかけられた。
このあとローピング2種目とバレル・レーシングがある。私も準備にとりかかる。待っている間は、ここ2戦のことを繰り返し思い浮かべていた。そして前日のソニーのライド。スクールで一緒だった、ネブラスカから来ていたコーディのライド。
種目はひとつ、またひとつと終了していく。バレル・レーシングの途中で、ブルがシュートに運ばれ始めた。ファッジ・シクルが最初にシュートに入る。ということは、私の出番は前のほうだ。ロープを持って巻いていると、私が最初に出ると告げられた。見に来ていたルイのかみさんにデジカメを渡し、撮ってもらうように頼み、チャドの兄のジェフにロープを締めるのを手伝ってもらうのを頼んだ。
アリーナのバレルが片付けられていく。出番だ。ロデオ・アナウンサーが、私が日本人であることを観客に伝えている。それを聞いて、観客も沸く。シュート裏にいるカメラマンがしきりに私を撮っていた。
シュートの中でロープを温める。ジェフがその間中、声をかけ続ける。スパーを差し込ませ、左肩をいれながら出た。最初のジャンプは小さかったが、次のジャンプが長かった。遠くへ連れて行かれるような感じで、着地するとすぐに右へ回る。やはり速い。飛ぶように回る。そのまま渦を巻くように右へ、右へ。ロープを握る左手と股間が離れていく。視点がグランドを見た時点で、私はその視線の先に振り落とされた。ダレルが絶妙のタイミングで、私の前に立つ。回り続けたブルの先にルイが入り、彼の注意を引く。ファッジ・シクルはそのままルイについていった。
あっけなかった。また右回りのブルについていけなかった。

このあとは、トラビス、チャド、アレックスのヘルプに回ったが、皆8秒乗り切れなかった。私たち4人どころか、この日出場した選手全員が、落ちた。シュート裏では、誰もが下を向いていた。
ギアを片付け、駐車場に行ってみると、観に来てくれた家族が待っていた。「また落ちたけど、仕方ないから来週も観に来てあげるわよ!」と笑顔で迎えてくれた。彼らが観に来ると、私は落ちるというジンクスが続いている。もっとも、落ちている回数が圧倒的に多い私ではあるが。

アリーナの外では渋滞が続いていた。しばらくここで時間を過ごし、車が流れるのを待った。空を見上げると、満月だった。

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