Jin's Report 2011

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課題

第3戦 6月3日

【移動距離23.3マイル/約37.3km】
“Desert Peak PRCA Stampede” Tooele, UT (PRCA)
“デザート・ピーク・PRCA・スタンピード”
ユタ州 トゥーイル

ユタに戻ってきて周りを見渡してみると、東のワサチ山脈にも西の小高い連山にも、その山頂にはまだ雪が残っていた。ここ数日もあまり気温が上がらず、涼しい。ブルライディングへの思いをひんやりと冷ましてくれる、そんな気候が待っていた。
かといって、早々の試合になにもせずに臨むことはない。前日にショーンの家に行き、バレル・マシンでの練習をする。やはりこの週末にロデオを控えた選手たちが、ぞろぞろと集まってきた。モアブ、ヘリマン、そしてトゥーイルとユタ州内で3つのロデオがこの週末にある。私が出場できるのはトゥイラだけだが、2つもしくは3つすべてのロデオに出場できる選手もいる。
バレル・マシンでの練習は、ひたすら基礎となる動きの反復練習だ。徹底的に身体に染み込ませる、そんな感じだ。とにかく時間を作ってでも、この練習を欠かしたくはない。ブルに乗る前に、どうしてもしておきたい練習だ。この日も5~6人がかわるがわるバレルにまたがり、練習を繰り返した。それが終わってから、ショーンと選手の一人ルイスが作ってくれた鹿肉の料理が皆に振舞われた。ショーンはいつも、こうして集まった選手たちにメシを食わせてくれる。彼の面倒見の良さには、本当に頭が下がる。食べ終わったのが夜11時近くだったこともあり、結局私は、ショーンの家に泊めてもらうことにした。

11シェリフ・ジョー
#-11シェリフ・ジョー


翌朝、1時間ほどショーンが私を裸馬に乗せてくれた。馬場で大きく円を描いたり8の字を描いたりといった運動だが、これもブルライディングには最適な練習のひとつだ。
午後には家に戻り、時差ぼけを直そうと昼寝でもしようと思っていたら、ルイと彼の6歳の長女がやってきて、私は彼女の遊び相手をすることになってしまった。結局寝る間もなく、ルイのトラックに私のギアを積みこんで、私たちは3人でトゥイラへ向かった。
ロデオ開始は午後8時。日が沈んでいくにつれ、空気が冷たくなっていく。ここは広大な複合スポーツ施設で、ロデオ・アリーナはその一部にすぎないようだ。四輪と二輪のオート・レース場がメインで、巨大なスタンドがそれを囲む。そこでは、そのコースを利用してのゴー・カートが楽しめるそうだ。天然芝の草野球場が4面。さらにロデオ・アリーナの横には競馬用のトラックがあり、起伏に富んだモトクロス用のコースまである。おかげで、選手用の駐車場を探すのにも時間がかかった。
ルイと共にロデオ・オフィスへ向かい、チェック・インを済ませる。ここでは、彼がブルファイターを務める。私のエントリー・フィーは121ドル。与えられたブルは、サンキー・ロデオ社の#―11 Sheriff Joe(シェリフ・ジョー)。ブル・ペンに彼を探しに行くと、最初のペンにいた。白い、シャーレイ種のブルだ。それほど大きくない。若いブルが多い、と言う評判だったとおり、どのブルも3歳か4歳くらいのブルばかりだ。顔を確認して、ルイのトラックに戻ると、彼は着替え始めていた。
私はシュート裏へ行き、私の準備を進めた。練習仲間のダスティン、ショーンの家で知り合ったカーター、そしてソニー・マーフィーも来ていた。

着替え中のルイ
着替え中のルイ

プログラムが進んでいく。スティア・レスリングが終わったところで、ストレッチに入った。ブルライディングまではかなりの時間があるが、渡米してまだ日が浅かった事もあり、少し時間をかけたかった。サドル・ブロンコも終わった時点でシュート裏にもどり、ロープを温める。マトン・バスティンのために子供たちがシュート裏に集まってくる。2歳か3歳くらいだろうけれど、これが彼らにとっての最初のロデオになるのだから、うらやましい。
バレル・レーシングが始まるとブルが運ばれてきた。シェリフ・ジョーは右側のデリヴァリー。ロープを調節しながら、彼の身体に巻きつける。シュート裏で見ていた二人の少年が、なぜか私のところに来て、手伝ってくれた。15歳というから中学生なのだろう。二人ともブルライディングをしているらしく、あーだ、こーだと教えてくれる。「大丈夫、知っているよ」と答えて私の準備が終わると、スマート・フォンを取り出して、彼らの動画を見せてくれた。なので、今回は彼らに動画を頼んでみることにした。
この日だけで15人の選手が乗る。私の出番は6番目だった。前の5人は全員落ちた。
ロープを巻くのを手伝ってくれたのも、さっきの男の子だ。ロープの引きが甘いので「もう少し強く」と頼む。彼なりに力いっぱい引き締めてくれた。ズレないように、ピンチを押さえてくれる。教わった事を忠実にこなしている、基礎を大切にしている事がわかる。シェリフ・ジョーは身体を左右に振って、自分は準備が整っていることを教えてくれる。「出たがっている」、でも顔は反対を向いてしまっているので、アリーナに向くように角をつかんで強引に顔の向きを変える。私も、身体を前に摺り寄せて、出る体勢を整える。ゴー・サインを出した。

一歩踏み出して、次のジャンプが高い。そのわりに返しのキックが高くない。あまり前傾にならず、中央で姿勢を維持する。着地してすぐに左のコーナー。ここから彼にギアが入ったのか、スピードが上がる。そのまま左へ回る。それほど角度のあるジャンプではない。なので、あまり前傾せずに姿勢を保ったが、やはりキックがない。体重を乗せるはずの左脚が外れてくる。ロープを握る左手とケツが徐々に離れていく。左に回りつづける彼のスピードはさらに上がる。私の身体が、彼のフランク・ストラップまでずれてしまった時点で勝負はついていた。彼のケツからすっぽ抜けるような形で、私は振り切られた。ブルファイターのジョーがすばやく身を入れてくれたおかげで、ブルの注意を私からそらしてくれた。私の横では、ルイが私をカバーしてくれていた。

出番を待つカウボーイたち
出番を待つカウボーイたち


アリーナを去り、手伝ってくれた少年二人に礼を言い、動画を確認した。残念ながら、最初からは撮影されていなかったが、これも記録のうちのひとつだ。
動画を観るにつれ、私はいままで何度同じ過ちを繰り返してきただろうか?と自分に問い詰めた。似たような動きをするブルに、私は何度もあたっている。カリフォルニア州テハチャピとサリィナス、ワイオミング州アフトン、サスカチュワン州ロイドミンスター。2度目のジャンプが大きく、そこから左へ旋回するパターン。
これが、私の課題だ。
いまだに克服できていない…。

 

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