Jin's Report 2009

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3タテ

第7戦 9月27日

【移動距離212マイル/約339.2km】
“Barstow Rodeo Stampede” Barstow, California(PRCA)
“バーストウ・ロデオ・スタンピード”
カリフォルニア州 バーストウ

よく眠れた。疲れていたのもあったかもしれない。
挽き肉とジャガイモを混ぜたスクランブル・エッグ、トースト、オレンジ・ジュースという朝食で迎えられた。昨日吠えまくられた3頭の犬たちも、なついてくれた。食後も少しゆっくりとする時間があった。身体を休ませることも必要だと改めて思った。
昼過ぎ、カリフォルニアへ向けて出発した。キングマンからバーストウまではひたすらI-40を西へ進む。どこを見渡しても砂漠だ。

バーストウが近づいてくる手前で、右手に巨大なアメリカ海兵隊の基地が広がる。『Marine Corp Logistics Base』(マリーン・コープ・ロジスティクス・ベイス)というフリーウェイの出口まである。今日の会場はここだ。その出口をおり、基地のゲートで今日のロデオに来たことを告げると、「それじゃ入り口は基地の反対側だから、またフリーウェイにもどって二つ前の出口でおりて左に曲がって数マイル行くとわかるよ」、そう言われた。言われたとおり戻ってみると、確かにロデオ会場の入り口はあった。ここも回りは見渡す限り、砂漠だ。
車を止め、ロデオ・オフィスに向かう。開始時刻は午後5時。すでに4時半を過ぎていた。エントリー・フィー100ドルを支払い、ブルを見に行く。Slash T Rodeo CO.(スラッシュ・T・ロデオ)の#13 Rum Tuff(ラム・タフ)。初めてのストック・コントラクターなので、ブルのこともまったく知らない。ちょうどブルファイターが一人いたので彼にブルの事を聞いた。「鼻が地面につくくらい沈んで、そのときの蹴り足はシュートよりも高いところまで上がるよ!」そう彼が教えてくれた。

#13 Rum Tuff

準備を済ませ、周りを歩いてみた。馬にまたがり、オープニング・セレモニーに備えている『儀仗隊』がいた。彼らの写真を撮らせてもらったが、あとから聞いてみると騎馬による儀仗隊は、ここバーストウにしかいないらしい。

儀仗隊

フェンスの向こう側には貨車に戦車が並んでいる。観客もほとんどが海兵隊とその家族の人たちだ。

ロデオ・クイーンたち

ロデオ・クイーンたちも参加してのオープニング・セレモニーが始まった。それほど盛大ではない。

ロデオ・クイーンたち

しかし、この儀仗隊が入場してくると、観客としての海兵隊員はスタンドの最前列で、直立不動で彼らを見守っている。この瞬間、ロデオを見ていられる彼らに対し、戦場に赴任している同じ海兵隊員たちもいる。その隊員たちに感謝と敬意をこめて。

写真

セレモニーが終わってから、ストレッチに入った。昨日の首の痛みはあるようで、ない。が、耳の辺りや、こめかみに時々違和感を覚える。ブルの角が当たっているのだから、それも当然といえば当然か。
この日はバレル・レーシングに出場した選手が20人近くいた。それがようやく終わって、ブルライディングだ。ストック・コントラクターのPat O’miley(パット・オマイリー)から私が最初に出ると告げられた。

ラム・タフはでかい。ロープを手に巻く。足が入った。出る。大きく右を向く。ターンバックした直後に今度はそのまま横に跳ぶ。それから左へ。彼の右側に傾いていた私の身体が、そのまま外に振られた。落ちた私の周りを彼が囲む。ブルファイターの二人がタイミングよく注意をそらしてくれた。逃げることはできた。たたきつけられたヘルメットが脱げかけていた。それを外し、今度は私がたたきつけた。
3日連続で負けた。

他の選手たちはこれからだ。彼らのサポートに回る。私の目の前で、一人の選手がいきなりブルによってシュートのスライド・ドアにぶつけられた、前方に放り出されるような形で。この競技の危険な部分が、もろに出た。ヘルメットをかぶっていたとはいえ、一瞬彼の意識が消えた。誰もスポットに入っていなかったからだが、彼がグローブをつけるとき、ロープを巻くときに手伝ったのは私だ。急いで抱えあげると、意識を取り戻したようだ。目は開いている。ブルファイターの一人も彼を支えている。まだ彼はシュートから出ていない。ブルは周りを人に囲まれたおかげで、また暴れだした。無意識にロープを握っていた手を抜き、彼をシュートから引き上げる。いったん間をとるよう、パットから指示が出た。反対側のデリヴァリーで次の選手が待っていた。

女性二人だ。シュート裏で準備をしているのを見ていたので、彼女たちが乗ることは知っていた。ブルライディングは男性だけのスポーツではない。女性の選手もいる。この日はエキシビションとしてだったが、二人ともすでにスタイルを確立していた。8秒乗ることは出来なかったが、観客からは盛大な拍手が送られた。
そのあと、こちらのデリヴァリーからさっきの選手が出ることになった。グローブをはめ直し、同じブルにまたがる。今度は他のブルライダーがスポットとしてついた。そのブルはやはり落ち着きがない。彼もそれはわかっているので、ロープを巻くなり、すぐに出た。が、半開きのゲートにぶつかり、なおかつしゃがみこんでしまい、まったくライドとして成り立たなかった。立ち上がりざまに、彼は振り落とされたが、もう一度競技をおこなえる権利、“リライド”が与えられた。また少し間を置いて、今度は違うブルに彼はまたがる。また私がグローブをはめるのを手伝い、ロープを巻くのを手伝った。
残念ながら、このときは2秒ももたずに落とされた。これもまたブルライディングだ。

着替え、ギアを片付けていると一人のカウボーイに声をかけられた。Slash Tのスタッフの一人だった。日本から来ていると、ロデオ・アナウンサーが紹介したのを聞いて、話しに来てくれた。アイダホに住んでいて、今度遊びに来い、と誘ってくれた。
結局アリーナを出たのは、私が最後だった。このバーストウのロデオで、8秒間乗り切ったブルライダーは一人もいなかった。この場合、賞金は出場した選手全員に均等に分けられる。『グラウンド・マネー』といって、もちろん正規の賞金としてはカウントされない。ランキングにも影響しない。ただ、配当されるだけだ。金額は197ドルと少し。
もらっても、嬉しくはない。その反面、次のロデオのエントリー・フィーには回せる。やはり、素直にもらえたことに感謝すべきなのだろうか?複雑な心境だ。
車に戻り、エンジンをかけた。向かう先はサン・ディエゴ。
車中で、久しぶりにスピッツを聴きたくなった。

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