Jin's Report 2009

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観戦 二日目

10月24日

【移動距離49.5マイル/約79.2km】
“Wilderness Circuit Finals” Ogden, Utah (PRCA)
“ウィルダネス・サーキット・ファイナルズ”
ユタ州 オグデン

3日間かけて行われるこのファイナルズの最終日。私がアリーナに着いたときにはオープニング・セレモニーも終了していて、ベアバックが始まっていた。ロデオ・オフィスでもらったプログラムに目を通してみると、今日のブルの中にBar T Rodeoの、あのコーヒー・ブレイクがいる。去年のエヴァンストンで当たったブルだ。しかも今年の初め、2007年のワールド・チャンピオンでもあるウェスリー・シルコックスが彼に乗り90点を出した。この12月のNFRにも出場するのではないか、といわれている。
ブルライディングが始まるまで、この日は上の観客席から眺めるような形で他の種目を見ていた。ほぼ正方形に近い形のアリーナは、ローパーやバレル・レーサーには狭く感じるかもしれない。アリーナ自体がそれほど大きくはないのに、残念ながら観客席は埋まっていない。大学生のカレッジ・フットボールがユタ州内だけで3試合、この日行われていた。テレビ中継されるこれらのことを考えても、やはりフットボールには人気ではかなわないのかもしれない。裏を返せば、ロデオには、それだけコアなファンが多いということだ。

ティーム・ローピング

各種目の合間に、今シーズンのサーキット・チャンピオンと、このファイナルズのチャンピオンが紹介されていった。彼らにはバックルが授与され、サーキット・チャンピオンにはサドル(鞍)も授与される。
そして、ブルライディングが始まった。このときばかりは私もシュート裏に降りてきた。ソニー・マーフィーが来ていて、ロデオ・アナウンサーの横で解説を頼まれている。
最初がチャドだった。肩の故障で2ヶ月以上ロデオから離れていた彼は、この2日間8秒乗り切れていない。先週の練習では上手く乗りこなしていたが、やはり彼でもブランクは大きいとみえる。兄のジェフも応援に駆けつけていた。ジェフにロープを巻くのを手伝ってもらい、出た。最初のジャンプで身体が揺れた。右へのコーナーで、そのまま左にずれ、次のジャンプで振り落とされた。自分のロープも拾わずに裏へ回ってきた彼の表情は硬い。彼の気持ちはよく分かる。私はそのまま声もかけずに反対側のデリヴァリーへ回った。アレックスの出番が回ってくる。

準備をしているアレックス

彼が当たったのはBar T Rodeoのオースティン。NFR候補だ。私は始めて見る。昨日8秒乗り切った彼は、この日も8秒乗れればファイナルズ・チャンピオンになれる可能性がある。まだ2頭乗り切った選手がいないからだ。それだけブルのレベルが高いということなのだが、スティーブのサーキット・チャンピオンの座は賞金額の差から言ってまず間違いない(それほど彼がぶっちぎりなのだが…)。そうなると、誰がファイナルズ・チャンピオンになるかが焦点だ。
いつもどおりハットを深くかぶり、ほっぺたにビンタを数発、自分でくらわせてからアレックスはシュートの中に入る。出る。オースティンはパワーでどんどん下にひきつけるブルだ。蹴り足が高いのと同時に、沈み込みが深い。しかも賢いことに右手で乗るアレックスに対し、右に回りこんで自分が出たシュートの枠に彼をぶつけようとしている。一度目は逃れたアレックスだったが二度目は支柱にたたきつけられた。自分が出たシュートに落とされたアレックスを私が引き揚げた。

反対側で出番を待っていたコーヒー・ブレイクに乗ったDustin Tibbits(ダスティン・ティビッツ)は8秒乗り切った。しかし、予想したほど点数は出なかった。
最後がトラビスだった。乗るブルはクワジモト。昨日はザック・エリオットを振り落としている。小型で、敏捷で、動きの多いブルだ。この時点で、8秒乗り切った選手は二人。ダスティンともう一人の選手にとっては、この3日間で初めてのスコアだったので、トラビスのファイナルズ・チャンピオンは確定していたらしい。でも、彼も、私も、おそらく見ていた誰もがそんな計算はしていなかったと思う。トラビスは一人で集中していたが、グローブをはめる左手はかすかに震えていた。「緊張している」私はそう思った。トラビスもクワジモトのことはよく知っている。「Hundred Ten, Travis!!」100%以上の力を出せ、というときにかける掛け声だ。ゴー・サインを彼が出した。
ゲートが開くやいなや、クワジモトは180度回転した。信じられない速さかと思われるかもしれないが、昨日のザック・エリオットのときとは違う動きをした。左手で乗るトラビスは180度回転し終わる前にシュートの支柱にたたきつけられ、その場に落ちた。彼の身体はシュートの中にある。1秒もたっていないだろう、そんな時間だった。立ち上がった彼の表情も、何が起こったのか、一瞬理解できていないような感じだった。

ファイナルズ・チャンピオンは3日間の合計点で決まる。結局、2頭以上乗り切った選手が1人もいなかったので、トラビスが初日に出した88点というスコアが彼の合計点となり(88+0+0)、そのままファイナルズ・チャンピオンのバックルを手にした。着替えている最中にロデオ・アナウンサーに名前を呼ばれたトラビスも、バックルをもらってもあまり嬉しそうではなかった。「おめでとう」そう声をかけると、「1頭しか乗れてないからな…」と言葉を濁した。「でも優勝には変わりないよ」、そういうと初めて笑った。私としても、自分の仲間が優勝したというのは本当に嬉しい。

ラフ・ストックの選手の控え室

果たして、私は、このサーキット・ファイナルズの舞台に立てるだろうか?
2010年の目標のひとつは、このファイナルズに出場することだ。上位12人という枠は狭い。けれども、この仲間たちといれば出られるんじゃないか、そんな気もした2日間だった。

 

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